『光の営業マン』
このシリーズは筆者が実際に体験した
営業職の経験を、FF14のSSを通して
「ノンフィクション」でお届けする。
ちなみに前回から3年と5か月が経っている。
このシリーズの次回は絶対に無い。
そう思っていた読者の方もいるだろう。
私もそう思っていました。
ふなっしーです本日もよろしくどうぞ。
営業と言っても様々なタイプが有る。
新規開拓営業に強い者、
顧客と長期的に関係構築が出来る者。
なぜか顧客に可愛がられる者。等々。
上記タイプに紐づき、
営業として様々な能力が求められるが、
顧客先に直接伺う営業であれば
必ず出来るようになっておきたい事が有る。
それは、顧客との
アイスブレイク
アイスブレイクとは、
初対面の人同士が出会う時、
その緊張をときほぐすための手法。
集まった人を和ませ、コミュニケーションを
とりやすい雰囲気を作り、そこに集まった
目的の達成に積極的に関わってもらえるよう
働きかける技術を指す。
商談が始まると、雰囲気は必然的に硬くなる。
その雰囲気をどれだけ柔らかく出来るかが大事。
ビジネス対ビジネスの話だと空気は硬くなるが、
人対人の話というのは空気を緩めてくれる。
アイスブレイクにはその人の人となりが出る。
自身のありのままの姿、性格を
アイスブレイクを通じて伝えるのである。
それにより場の雰囲気を柔らかく出来る。
これがうまく出来るか出来ないかで、
営業の実績は大きく左右される。
最近思うのは、商談という場でもどれだけ
人対人の関係に持ち込めるかが肝という事。
相対するこの人はどんな考えの人なのか、
どんな性格なのか、どんな事が好きなのか。
パーソナリティに触れる事で〇〇社と〇〇社の
関係ではなく〇〇さんと〇〇さんの関係になれる。
それが非常に重要だと思う。
ちなみに定番のネタとして
良く取り上げられるものとして下記が有る。
キ:季節・気候
ド:道楽・趣味
ニ:ニュース
タ:旅
テ:テレビ
カ:家族
ケ:健康
シ:仕事
衣:衣類
食:食事
住:住居
「キドニタテカケシ衣食住」
雑談ノウハウの様な本にも、
必ず書いてあるものである。
話題に困った時には使ってみるのも良いと思う。
ではここで直近のアイスブレイクの
事例を紹介したい。
CASE:1
ただあまり来ない場所なので少し迷ってしまいました
それにしてもこの辺は非常に人が多いですね
午前も商談だったので、早めにこちらについたのですが
カフェなども中々入れず困りました
直前の出来事という事でのリアリティが有り、
これもアイスブレイクでは有効である。
先方オフィス近場の話ならなお○。
ランチも含めですがどこの店も金額が高いですね。。
場所的な部分もありランチで
1,000円は越えてきます
そこのコーヒーが一杯995円で非常に驚きました 笑
私はコーヒーの味の違いが分からない人間ですので・・
最初は仕事をしようと思っていたのですが、
あまりにも高かったので雰囲気を楽しむことにしました
1,000円を払えばご縁(5円)が返ってくるというもので
995円も高くはないかなと 笑
495円にして欲しいですよね~
500円で5円が返ってくる!!
手練れだ
なかなかやるな・・
こちらから投げかけたラフなテーマに、
即座にプラスワンのユーモアを乗せて返すとは。
その瞬発力、その勇気。買おうじゃないか。
安直ではあるがこちらも乗っかるのが筋。
大丈夫だ。多少チャレンジングな発言でも
この人は拾ってくれるだろう。
しかしもう一声 95円位が嬉しいですかねw
995円×二人分の1,990円を2000円で支払ったので・・
ちなみに私は「笑い」というものを
商談においても非常に重要と捉えている。
笑うと場が和むのは勿論、感情に起伏が生じる事で
緊張がほぐれ、リラックスして話が出来ると感じる
基本安パイを行く私だが、
笑いを生み出すという事に注力する為に、
時に攻めることもある。
CASE:2
5月21日(火)。そうこの日は土砂降りだった。
関東では久しぶりの大雨、人々の足を止めた。
そんな日なのに、いやそんな日だからこそなのか、
その日に限って私は3アポだった。
天気もアイスブレイクでよく使われるテーマだ。
ちなみにこの日は大雨だったというのも有り、
3訪問中全ての訪問先で天気が話題となった。
大変でしたよ~
大丈夫ですか?
今回訪問している顧客は本当にノリが良い。
毎月2回定例会という名目で訪問をしている。
接触回数というものは非常に重要で、
毎月2回も会っているということもあり、
コミュニケーションは非常に円滑だった。
ちなみにこの時、私は非常に雨に濡れていた。
強風のおかげで傘をさしていても、
全く機能しないのが正直なところだった。
しかもこの日のスーツの色は灰色。
その色が濡れっぷりに拍車をかけた。
灰色は濡れた時とそうでない時の色の
変化が非常に激しいのだ。
一緒に同行していた女性社員からは、
「え・・?濡れすぎじゃないですか。。」
とひかれる位の濡れっぷりだった。
そして・・
右からの横殴りの風という条件。
私は右半身が顕著に濡れていた。
ここだ・・
顧客との良好な関係。
そしてこのびしょ濡れの状況。
多少のリスクを取っても
行くしかない!!
濡れすぎて
右側と左側の色が違っちゃって
え?
なぜ・・
なぜだ・・・・!!
条件は整っていた。
いつもだったら拾ってくれる。
なぜスルーなんだ。
なるほど・・
やりすぎてしまったか。
失礼にあたってしまったのか。
確かに心当たりは有る。
大雨・強風だからと言って
それは濡れすぎだろうと。
「その状態で、それで椅子に座ります?」
分かる。分かるよ。
あ、部下の女性も自分の右側を見てる。
ちょっと嫌そうな目。やっぱりそうだ。
間違いないこれは濡れすぎだ。
濡れすぎてキモイ!
しかも右側だけ。
更にキモッ!!
なるほど納得!そういうことでしたか。
CASE:3
今回のケースはあまりよろしくない
アイスブレイクの事例紹介である。
良くないパターンを覚える事で、
更にアイスブレイクの精度を上げていきたい。
社長お忙しいところありがとうございます
4月に入社致しました!!
あ、上司(ふなお)さんの前だと言いにくいか~?
新卒を使ったこのネタ。テッパンで有る。
ただ新卒にとっては迷惑でしかない。
それで電車に飛び込んちゃうの
やめなさい
夢・希望に満ちに満ちた
新卒に何て事言うのですかあなたは。
それなのにねあんな狭い電車にすし詰めにされてさ
こう・・なんか吸い込まれそうになっちゃうの
まてまてまてまて
フフじゃないよ
基本はネガティブな話はご法度。
今回の場合は顧客側の発信だったが、
これを営業側がやってしまったら、非常にまずい。
やはり皆、楽しく面白い話を求めているのだ。
では最後に、
アイスブレイクのネタとしては非常に
良かったのにも関わらず、
使われずにそのままお蔵入りとなってしまった
ネタを、エピソードと合わせてご紹介したい。
CASE:4
少し到着が早かったね もう少ししたら入ろうか
ちなみに今日のお客様はかなり売上規模のある会社なんですね
ここまでの売上が有るのも大したものだね
継続的に発注を頂いているA社。
彼らは幸運を呼ぶ「数珠」や「財布」
などを販売していた。
開運というと怪しい企業も多いが、
この企業は数十億の規模で展開。
働く従業員もまじめな方が多く、
真っ当に商売をしていると感じた。
非常に大事な商談だ。気合いれていこう!
縁起を大事にする企業様だ
しっかりと紐も結んでおいた方が良いか
パンツ破れちゃった
正確に表現するならば引き裂かれた・・かな
お客様の事務所は自社ビルで、事務所前が
駐車スペースになっていた。
その入り口を閉める門の部分に、
スーツパンツを引っ掛けてしまったのだ。
門はふなおのパンツをいとも簡単に引き裂き、
太ももから尻にかけて
その切り口の長さは30cm以上に達していた。
一言で表すと「やばい」です
こんなミラクル滅多にないですよ。
これを使ってアイスブレイクすれば良いんじゃないですか?w
利用するしかない。攻めすぎな感はあるが、
お客様の人柄からして恐らく問題無い。よし・・
まてまてまてまて
それは絶対だめだ・・・!!
なぜならこの企業は
開運系
自分は馬鹿か。幸運を提供する企業に対し、
「いや~今ですね、貴社の事務所の入り口で
パンツ裂けちゃいましたー(笑)」
なんて口が裂けてもパンツが裂けても
言える訳がない。
「お宅の事務所の入り口で
こんな不幸な事が起こってしまいましたよ」
それを伝えた瞬間先方のメンツは丸つぶれ。
商談は一瞬にして凍り付くだろう。
この事実は伏せておいた方が良いです
バレることは絶対に許されない
絶対にバレられない戦いが
そこにはある
11時からお約束でお伺いいたしました
パンツが破れているこの事実
誰にもバレる訳にはいかない!!
フォーメーションA!!
横からの視線を完全に遮る布陣。
これで前方180度の安全は
確保されたと言っても良い。
気を付けなければならないのは、
背面からの急襲である。
尻は全て部下に任せ、自身は歩みを進める。
一蓮托生、部下と私は運命共同体。
バレたら全滅の憂き目。
「私の尻を守る事」
3人の目的は一致しており、
過去に無い結束がここに生まれた。
無事受付を済ませる一同。
ここまでの動きは完璧。
3人は奥の打ち合わせルームへと
更に進んでいった。
前半戦終了
無事に席に着くことに成功した。
これでしばらくの間は平穏である。
長らくセーブをしていない状態で
セーブポイントにたどり着き、
無事セーブを出来た感覚に近い。
道中は基本は部下に尻を守ってもらい、
それでも先方の視線にリスクを感じる時は
壁を背にし、うまく歩みを進めた。
なんでそんな遠回りするんだろう。
不審がられたかもしれないが致し方なし。
すべては 尻=お客様 を守る為。
私の尻破れ事件により、
お客様の信用・実績に泥を塗る訳にはいかない。
今回の打ち合わせは、
先方の広告プロモーションの
肝となる部分の話だった為、
商談は大いに盛り上がった。
顧客の話を聞きながら私が考えていたのは
どう尻を守るか
~ALL for 尻~
脱出ルートはどれが最善か。
自身が動くのが良いか、部下を待つのが良いか。
先行して会議室から出るのか、
しんがりを務めるのか。
打ち合わせの優先順位は 尻 以下だった。
そして
商談は無事に終わり、
商談中に練り上げた脱出プランのおかげで、
リスク無く部屋から出る事が出来た。
最後まで油断することなく
ミッションコンプリート
私達は彼らの
尊厳を守った
そして私の下着が
地味で良かった